シャンカラチャリヤ

シャンカラチャリヤは、アドヴァイタ (不二一元論的) ヴェーダンタを創始立した紀元 8 世紀のインド人哲学者です。

彼は、「ブラーマ スートラ」、「バガヴァッド ギータ」、主要ウパニシャッド (数としては、「ブリハダラニャカ ウパニシャッド」、「チャンドギャ ウパニシャッド」、「マンデュキャ ウパニシャッド」を含めて 10 書程度) のヴェーダンタ経典三部作に関する注釈書を残しています。また、特に、ヴェーダンタの原則を完全詳述した「ヴィーヴェッカチューダマニ (識別の宝石) 」や、アートマンとブラーマンの同一性を徹底的に論じた「アートマボッダ (自己知識) 」も彼の著であると言われています。さらに、 「パタンジャリのヨガ スートラに関するヴャーサの注釈」に対する再注釈も彼の著とされています。

シャンカラチャリヤは、ブラーマン/アートマン同一性についての真の、経験的な知識だけで悟りを開くのに十分であり、精神世界の求道者がこの最高の叡智を得るためにすべてを犠牲にする用意があるかぎり、 精神修行としての儀式、瞑想のいずれも必要としないことを、徹底して主張します。

彼は、徹底した弁証法的論理を使って、自分の反論者が提示するほとんどすべての論議を論破します。彼の論理の使用のし方は、容赦なく、完全無瑕です。

なぜ一つ (ブラーマン/アートマン同一性) が多数 (この現象界) になるのか、その理由を尋ねる反論者に対しては、シャンカラチャリヤは、自分自身の知識の欠如のために人は真なるものに虚偽のものを「投影」することで、一つが多数に見えるように信じ込んでしまうからである、と答えます。たとえば、ある人が藪に蛇がいると信じ込んでいるが、実際にはそれは単なるロープであるとします。この場合、その人は、ロープにヘビの虚像を重ね (投影し) 続けるかぎり、決してそれがロープであることを知ることはできないでしょう。しかし、その人は、誤った知識を落とすやいなや、現実をあるがまま経験できるようになります。同様に、自分自身の真のアイデンティティについての誤った知識のために、私たちは、「外界」に自分とは別の現象界が存在していると間違って理解しています。自分が世界全体と常に一体であり、まさしく今この瞬間、ここで、自分はすでに「悟っている」ということを知るのは、虚偽の「投影」を落とすことができる人々です。

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